今回はプロジェクトで存在する利害関係のお話です!
プロジェクトなんかで、突然発生したトップダウンとか、お客が切れたとか、人や権力による問題、結構体験した事ありませんか?
今日はそんなリスクを把握するために、プロジェクトマネージメントでよく利用されている方法をご紹介したいと思います!
まずステークスホルダーとは何か?
まず、最初に「ステークスホルダー」ってご存じでしょうか?この項目はご存じない方だけ読んでいただければ。
例えば、とある開発プロジェクトが立ち上がったとしましょう。
そのときに、決裁権のある顧客の偉い人(スポンサー)だったり、顧客の現場担当だったり、自社の上司、作業者、プロジェクトマネージメントをする人・・などなど。
プロジェクトに関わる人すべてを・・
ステークスホルダーと呼びます!
ステークスホルダーは「利害関係者」という意味で使われます。
多くの人と仕事をしたときを想像してみて下さい。
性格も違う、利害関係も違う、プロジェクトに賛成している人もいれば、反対してる人もいる、どうでもいいと思ってる人・・などなど様々な立場・考えの人が存在しますよね。
つまりプロジェクトに参加してる人達には、多くの利害関係が存在しているんです。
ステークスホルダーはこのように「利害関係が存在する関係者」という意味で理解しておきましょう。
利害関係から生まれるトラブル
プロジェクトが成功すると、喜ぶ人もいるけど、困る人もいます。このような利害関係がプロジェクトには必ず存在するのです。
この「成功して困る人」が権力のある人だったりすると、プロジェクトの障壁になるリスクがあります。
こんなときのために、ステークスホルダーの利害や影響力を把握しておき、管理する方法が・・
ステークスホルダー影響度分析!
やり方は簡単です。「権力と関心」の2軸で以下のように分類しプロットしていくだけ!
例えばこんな感じで判断します。
現場オペレーター(顧客)は新しいシステムを導入すると、業務がガラッと変わってしまうので、あんまりこのプロジェクトに関わりたくない・・という点から関心を持っていない。
事業部長は、業務改善のために新システムの導入を依頼してきた人なので、権力があり関心が一番高い。
そして、プロットした人達をこのように分類して、対応方法やリスクを考えます。
最大限の注意
右上に位置する人は、権力もあり関心もあるので、慎重な対応が必要です。
この位置にいる人は、決済権限があり、プロジェクトを中止する事もできる人です。
認識齟齬の無いように、慎重なコミュニケーションを十分にとりながら、彼らの期待を裏切らないようにプロジェクトを進めましょう。
満足の維持
左上に位置する人は権力はあるが、関心がない人。
対応方法としては、今の状況に満足させ続け、プロジェクトに必要以上の関心を持たせないようにします。
例えば、現場担当者の上司だった場合、プロジェクトが順調で、部下が作業範囲内で動けているのであれば、何の文句もないので、プロジェクトには干渉してきません。
しかし、このプロジェクトにより、現場担当者の工数を圧迫するようであれば、権力を使ってプロジェクトを止めようとするでしょう。
こんな状況にならないようにする事が「満足の維持」です。
常に情報を与え続ける
右下に位置する人は、権力はないが関心はある人。
この人たちには進捗状況を伝え、可能な限り状況をクリアにしておきます。
正直に情報を伝える事で信頼感が生まれると、権力者へ交渉が必要になったとき、味方になってくれる場合もあります。
逆に情報不足により不安に陥ると、権力者に悪い印象を伝えてしまうので、日頃からきっちり認識合わせをしておく事が必要。
監視する
左下に位置する人は、権力もなく関心もない人
積極的に何かをする必要はないのですが、この位置の人達が不満を持ち、権力者に直訴して状況が悪化する場合も結構あるので、しっかりウォッチはしておきましょう。
更にもう1つ要素を加えると・・
実は「権力」と「関心」だけではなく、もう1つ「態度」という要素を加えると、こんな位置づけで考える事もできます。
※赤字が要注意ポイント
注意しておきたいステークスホルダー
時限爆弾・妨害者
権力・関心・態度の3つの要素から分析して、一番注意すべきステークスホルダーは権力が強く、否定的な態度をとっているステークスホルダー。これに該当するのが「時限爆弾」と「妨害者」です。
この人達は、進んでいるプロジェクトを途中でひっくり返したり、肯定的な関係者を否定し続け、プロジェクトを停滞させるなどの人的リスクを生み出します。
こういう人が出てきそうなときは、関心をそらしたり、懐柔して態度を変えてもらうなど、早急な対策が必要です。
トリップワイヤー
権力も低く関心も低いが油断できないのが、トリップワイヤー。
トリップワイヤーは「罠」という意味で、満足していた権力者が、罠により急に不満を抱き始めてしまう恐ろしい話。
例えば、よく見るのが、現場オペレーターが新しく何かを始める場合、また一から運用を考えなければいけないので、新しい事はしたくない・・なんて状況多いと思います。
このように、不満を抱えた現場オペレーター が、権力者に直訴 → 権力者が不満を持ち炎上 → お前らの製品どうなっとんじゃ!
こうなる流れです。
ちなみにトリップワイヤーが暴走するとこうなる場合もあります。
思い込みなどの不安がたまると、こういう状況が発生しやすいので、あらかじめ良い情報もたくさん与え続けましょう。
ちなみに、この状況を逆に利用すれば、現場オペレーターの人たちを味方にする事もできます!
救い主
権力も強く、関心も強く、態度も肯定的、ピンチになったときに備えて把握しておきたいのが、救い主。
救い主を抑えておくのは重要ですが、注意すべきはこの人が否定的な態度に変わると「妨害者」に変わるという事。
甘えすぎたり、調子に乗って、せっかくの味方を敵に回す事にならないよう、カードの切り方には注意しましょう。
最後に
今回書かせていただいた影響度分析を使う事で、人の利害関係が生み出すリスクをあらかじめ予測できます。
予測できたところで、どうにもならない時もありますが、それでも予測できるとできないとではかなり違います。
仲間やお客様をマトリックス図で判定したり、ラベリングしたりするのって、人としてどうなの?何様なの?って感じる方もいると思います。
でも、そんな事言ってる場合じゃねーんだよ・・ってくらい、利害関係の整理は重く難しい問題なんすよ・・。
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