今回は人月工数のお話です!
どこかに作業依頼をするときって「工数」なんてキーワードが出てきませんか?
よく出てくるキーワードだけど、ぼんやりとしか理解してないんだよね・・。今更聞くのもなぁ~・・
もし、こんな感じの方いらっしゃいましたら、是非うちのブログを読んでいってください!
実は全然難しい話ではありません。考え方はいたってシンプル、でもすごく重要な話なんです。
特にIT業界で営業をやられている若手の方は、理解しておくときっとどこかで役に立ちます!
それでは今回もいつものノリで!
まず工数の出し方から考えてみる
工数はざっくり言うと「人の作業量」なんですが、具体的にどう考えて、どんなときに使うのかを、少しずつお話していきたいと思います。
まず工数を出すには、最初に依頼内容の作業時間を想定します。
例えば・・これなら1か月くらいあれば完成しますとか、2か月かかります・・みたいな感じですね。

こんな感じで、ざっくりどれくらいかかるか?まず考えるのですが、もう1つ考えなければいけない事があります。それは・・
何人で作業をやるか?なんです!
例えば、それぞれ以下ボリュームの作業があったとします。
- 1人でやって1か月かかる作業
- 2人でやって1か月かかる作業
1か月の作業量をイメージしてみてください。
同じ1か月でも「1人でやって1か月かかる作業」と「2人でやって1か月かかる作業」では作業量がまったく違いますよね?
なので正しい作業量を出す為には「何人」で「どれくらいかかるか」を考える必要があるんです。

どう表現する?
では、「何人で何か月かかる」をどう表現するかと言いますと
例えば、1人で2か月作業をした場合ですが、これを1か月単位で区切ると作業量はこうなります。
1人が合計2か月分働いた:
1人×2か月=“作業量は2人分”
今度は同じ能力の人が2人いたとして、うまく作業分担をしたらどうなりますでしょう?
2人だと早く終わるという考え方は、ここではいったん無視して作業量だけを考えてみましょう。
作業量だけを考えると、こちらも1人でやった場合と同様「人が2か月分働いた」となるのが解りますでしょうか。
2人が合計1か月分働いた:
2人×1か月=“作業量は2人分”
つまり、この例の場合、作業を完了させる為には「月に2人分のリソースが必要」なんです。
作業者が2人なら1か月で終わりますが、もし1人でやる場合は「2か月かかる」という計算になります。
ここからが本題になりますが、今回の「月に2人分のリソースが必要」はこんな感じで表現します。

要は目的を達成させる為に、1か月に何人分の作業量が必要なのか?これを表現したいんですね。
これが「人月工数」なんです!
どんなときに人月工数を使うの?
では、どんなときに工数の考え方が使われるのでしょうか?
一番身近なところでは「お見積」によく使われます。
課金の方法は会社によって様々ですが、人月工数は受託開発などではよく使われる、お見積り方法です。
考え方はいたってシンプル。要は作業量を割り出して、人が動いた時間だけお金をもらうって事。
これは会社によるので、例が難しいんですけど・・値段の相場は大体こんな感じだと思ってます。
・下請・個人事業主のPG 40~60万/月
・大手のPG 50万~100万/月
・若手SE 80万~120万 /月
・シニアSE 100万~160万 /月
SE(システムエンジニア)は設計や依頼者とのヒアリングがメインで、ときには作業もします。
これも会社によるんですが、基本PG (プログラマー)は単純に頼まれた作業をやるだけです。
具体的に何をどうするか?などをまとめてPGに依頼するのは、SEがやるのが一般的です。
こんな場合はどんな見積もりになる?
では、以下のような場合、どんな風に見積もるかを相場をもとに考えてみましょう。
- 設計がいらない単純作業
- 完了目途が1人で半月くらいの作業
- そこそこ有名な会社に依頼する
回答は以下の様になります。
まず、完了目途としては、1人で作業して半月くらいなので、工数は0.5人/月と仮定します。
今回は以下を参考に。相場の真中くらいで「1か月80万」で考えます。
※参考
大手のPG 50万~100万/月
人月工数と相場の値段を掛け算します。
0.5人/月×80万=40万

人月工数はこんな感じで見積もりを出します。どうでしょう人月工数のイメージは付きましたか。
人月工数のよくあるトラブル
このように人月工数は、見積など作業量の材料にはできますが、注意点として、必ず「納期」とは切り離して考えてください。
例えば、20人/月のものを、20人でやれば1か月で終わります・・にはなりません。
システムは「ある工程をクリアしたら、次に進む」みたいな感じで「工程」を積み上げていくので、全員が一斉に、並列作業をするなんて、できないんです。
要はこれって、完成に3分かかるカップ麺のお湯を、3人で注げば1分で終わるみたいな考え方なので、これをやってしまうと、大きなトラブルにつながるのでご注意ください。
納期については、工数とは別に、専門の方と綿密にご相談しながら進める事をおすすめます。
さらに重要なポイントがもう1つ
ここまで、人月工数とは、何人で何時間かかるか?というお話しをさせていただきました。
でも、今度は作業が何時間かかるか?をどうやって割り出してるか気になりませんか?
そう、この部分が一番の課題なんです!
過去に経験があって、毎回まったく同じ事をやるなら、工数を出すのは簡単です。
しかし、受託開発みたいに、作業内容がお客様ごとに毎回異なる場合、都度少ない情報から作業ボリュームを割り出さなければいけません。
どの商談でも、初回はどうすればいいかなんて解りませんので、ざっくり「〇〇がやりたい!御社でできますか!見積もりください!」から大体始まります。
これだけ聞いても、何をどこまで開発すれば良いのか解らないので、作業量を割り出すのは困難です。
さて・・どうしたものか・・
対応方法の例
対応方法は、会社によって色々なやり方があるんですが、どれも一長一短があります。
いくつか例をあげます。
・要件定義をしてから工数を割り出す
・多めに工数を確保して高めに見積もる
・ノリと直感でざっくり見積もる
要件定義をしてから工数を割り出す
まずは要件定義をする方法は一番よく使われますし、受注後に発生するトラブルのリスクも少ないです。
ただしこの方法は、1つの案件にものすごく時間がかかってしまうという、デメリットがあります。
営業をやられてる方は、商談をクローズする為に、すごくスピード感を求められてると思います。
この方法はものすごい時間をかけたのに「ロストになっちゃいました!」なんて事も結構あるんで・・営業の方は辛いかもですね。
多めに工数を確保して高めに見積もる
この方法は割と大きい会社が、スピード感で勝負するときに使ってるような気がします。
高く見えるので、値引きを要求されるかもしれませんが、スピード面やコスト面での問題はありません。
ただ、一番のリスクは、要件が詰められてないまま案件が進む傾向になりやすい事です。
もし受注後、プロジェクトを進めていた時に、お客様のやりたい事が「実現不可」である事が判明したらどうなってしまうでしょう。
これは要件が詰められてないまま進むと、普通にあり得る話です。
でも、そんな状況でも、お金をもらってるので後戻りができません。どうリカバリするかを常に問われる事でしょう。
こうなるとお客様はめっちゃ怒ります。でも無茶を言われながらも、折衷案を交渉し続けるしかないです残念ながら・・。
ノリと直感でざっくりと見積もる
経験則の直感と勢いで人月工数を割り出す。こういうやり方は確かに存在します。
一見ふざけてるように聞こえますが、百戦錬磨の方は経験を活かして、これを普通にやってのけます。
でも・・正直そんな人、あんまりいないと思った方が良いでしょう。
これは「経験」という根拠あっての事。根拠のない工数計算は、赤字やトラブルが次から次へと続出しますので注意しましょう。
失敗から学ぶのも大事ですけどね・・。
最後に
今回は人月工数についてお話をしましたが、いかがでしたでしょう?
当たり前の話ですが、商売は人が動いた分だけお金を取らないと赤字です。
でも、こんな当たり前の話でも、そう簡単にはいかないのが現状なんです・・。

お客様が気に入らない、決めるべき事が決まらない等、プロジェクトには色々な「地雷」が潜んでます。
想定していた人月工数をはるかに超える案件ばかり請け負って、倒産してしまった企業を私はたくさん知っています。
仕事はたくさんあるのに、受ければ受けるほど赤字になって、最後倒産なんて・・こんな怖い話あります?
ちなみに、人月工数を使うのは見積もりだけではありません。他にはエンジニアの作業管理などにもこの考え方を使います。
このお話しも、また別の機会にさせていただきますのでお楽しみに!
ではでは・・
またのお越しをお待ちしております!
今回のお話をもっと学びたいと思った方は
もし、今回記事を読んでいただいて、本格的に学んでみたい!・・と思った人には、この本がおススメです!