今回はタックマンモデルのお話です!
タックマンモデルはPM(プロジェクトマネージャ)の経験者の方には、結構馴染みのある言葉ではないでしょうか。
実は私もPMの訓練を受けた事がありまして、そのとき「あー。あるある」みたいな感じで覚えてたので、今でも頭に残ってたりします。
このお話しは、PMやチームリーダーの方が覚える用語みたいなイメージがありますが、そんな事はありません。
チームメンバーとしての目線で見るのも面白いと思いますし、参考になる事もあると思います。
タックマンモデルって何?
まずはざっくりタックマンモデルを語ってみます。
まず、このモデルを考えた人はタックマンというらしいです(そのまんまですね!)
例えば何でもいいのですが、複数人で何か難しい事を始めようと思ったとします。
そしてチームを組んだ瞬間、初っ端からみんなが同じ方向を向いて、同じ目的に向かって、最高のパフォーマンスを発揮できるんでしょうか?
いやいや、そう簡単にはいかないですよね。皆様も何となく、それはよくご存じなのではないでしょうか。
例えば想像してみてください。
人が集まったばかりだと、誰が何をできるかなんていうのも解らないし、どんな性格かも解らないから、自分がどう動けば良いかなんて手探りですよね。
そして、人によっては、なめられたくない一心で初回イキっちゃってる人もたまに見かけます。
タックマンモデルは、まさにこういう話で「チームはいきなり最高のパフォーマンスを出せないんですよ」って話なんです。
4つの成長段階
あ、でも誤解しないで下さい!タックマンモデルは、パフォーマンスを出せない話をしてるのではありません。
このモデルが伝えたいのは、チームで最高のパフォーマンスを出すには、チームに訪れる「時期」を乗り越えて4段階の成長が必要という事なんです。
ざっくり絵を書くとこんな感じです。では次の項目で1つ1つ説明していきましょう。
形成期(Forming)
プロジェクトはじまりました!色々な人がアサインされてチームが編成されました!
想像してみましょう。みんな何も解りません。
共通のミッションは何か?同じチームはどんな性格の人なんだろう?あの人なんか怖そうだなとか?色々不安ですよね。
形成期とはこんな時期です。
飲み会はこれを解消する、昔からの手段なんでしょうね。
他にこの時期を乗り越える手段として、チームメンバー達にゲームをさせるという方法もあるそうです。
ホントに効果があるか解りませんけど、だいぶ前に「マシュマロチャレンジ」なるものが話題になっていました。
混乱期(Storming)
これが一番めんどくさい時期なんですが、チームにとっては一番大事な時期とも言われています。
色々と形成期でチームの人たちとお話をして慣れて来たら、今度はぶつかり合いが起きやすい時期に突入します。
これが「混乱期」です。
チームでぶつかるのは普通によくある事だと思いますが、何故ぶつかり合いが起きやすくなるかを考えてみましょう。
チームのメンバーが、同じ環境で育った人だけで作られていることはまずありません。
年齢、育ってきた環境、学んだ環境、経験してきた事も違う人たちが集まってチームで仕事します。
人は日々の学びや経験から、自分にとって何が正しいかを判断して、自分の「正義」を見つけだします。
その為、持っている「正義」は人によって異なります。争いや混乱は、この個々の正義がぶつかり合っているものだと私は感じます。
例えば、ふとしたこんな会話が、相手に否定と捉えられ、ぶつかる場合もあるのではないでしょうか。
何を根拠にそんな事言ってんだろ。
よくある話ですが、争いが起きると、チームメンバーが意見を交わさなくなるなんてあったりしませんか?
人にもよりますが、争い事に巻き込まれるのって、めんどくさいですし「触らぬ神に祟りなし」ってことわざもあります。
こうなってくると「話合いとか無駄ですよね」ってなってきて、誰も意見を言わなくなりギスギスしてきます。
必要なのは対話
ここからは、私の個人的な経験を元にした話ですが、混乱期に必要なのは「対話」だと思っています。
「Aさんはこうすべきだと思う」「Bさんはこうすべきだと思う」みたいな意見の食い違いは、色々な人が集まってるので当然起きます。
メンバーのスキルがどれくらいあるのかも解らないのであまり信用もできません。
時には喧嘩になる事もあるでしょう。
でもね、大事なのは「どちらが正しいか?」なんて事をまったく考えずに進める事だと思うんです。
「正しい・正しくない」をベースにして進めていると、どうしても「否定されている」って認識になってしまいます。
それは自分もまた然りです。自分の意見が絶対的に「正しい」と思い込み、相手を徹底的に否定するだけで終わってませんでしょうか。
皆様に意識して欲しいのは「言ってる事が常に正しい人なんていない」という事です。
大事なのは「正しい」なんて事は抜きにして、異なる意見をチームとして「どうしてそこに行きついたか?」みたいに意見を紐解く事です。
こういったお互いの理解が、次のステップへ進む材料になるのではないかと思います。
状況にもよりますが、こんなときは「否定は無し」で「肯定的な意見はOK」というルールのもと意見を出し合う「ブレインストーミング」も有効なのではないでしょうか。
https://boxil.jp/mag/a1607/
もし、うちのチームってギスギスしてなんだかやりずらいなぁ・・って感じてるなら貴方のチームは「混乱期」で停滞したままなのかもしれません。
ちょっと長くなってしまいましたが、大事なポイントは、チームメンバーとお互い「考え方」を理解できる様になる事だ思います!
統一期(Norming)
混乱期で色々と話し合って、お互いの考え方が理解できれば、自分がどんな役割で立ち回れば良いのか解ってきますし、メンバーと、どれくらいの距離感で話せばよいかも解ってきます。
混乱期にどれだけ話し合ってこれたかで、ここで出てくる結果が変わると言われています。
こうなって来て初めて、チームが安定してパフォーマンスが上がっていくので、課題の共有と解決がスムーズに出来る様になってきます。
機能期(Performing)
機能期に入ったら、チームメンバーが役割を理解して、自発的に行動する様になります。
リーダーがやっていた事も、自発的にチームが出来るようになり、チームとしての成果も期待できるようになります。
この時期になれば、自分の担当以外の業務でも、自発的に他のメンバーをサポートする事が出来るようになります。
長くなりましたが、成長段階を経て、ここまでくれば初めてチームが高いパフォーマンスを発揮できる。
これこそが・・・
タックマンモデルなんです!
散会期(Adjourning)
よく紹介されているのは上の4つなんですが、実はもう1個あったりします。
散会期は、導入の完了など、チームとして目的を達成したので、いよいよ解散になるみたいなイメージです。
でも、この他にも色々な理由で散会が訪れる場合があります。
私はこの業界で、苦労を乗り越えて完成した、凄いチームと仕事をしたり、ずば抜けて仕事ができる人と組む事は何度もありました。
しかしながら、仕事ができる人と、いつまでも一緒に仕事できないのが、この業界でよくある事なんです。
そういう人は退職して次のステージへ行ってしまう事もありますし、別なチームに取られたりする事もあります。
そして機能期を迎えて強くなったチームのメンバーも、再編成されて別なプロジェクトにアサインされたりなどなど・・
またそれぞれ別な場所で、形成期からスタートするケースがホント多いんですよね。
これは私個人の解釈なのですが、これが散会期ってやつなんでしょう。きっと。
最後に
冒頭でもお話しましたが、これはリーダーやマネージャだけに有効なノウハウではありません。
チームメンバーの立場としても、状況を把握するのに役に立ちます。
例えば「うちのチームギスギスしてない?」って思ったとき。
そんな時はタックマンモデルで「あぁ混乱期なんだなこれ」みたいに考える事ができます。
そして、ここを抜ければ「統一期」「機能期」が来るから大丈夫だなって考える事もできたりします。
また、プロジェクトはチームで動いている事を、タックマンモデルを参考に、意識すると良いかもしれません。
特に駆け出しエンジニアの方は、今色々と勉強されて、他の方よりも、沢山高度な技術を身につけようと努力されていると思います。
しかしどこかのタイミングで、他人と自分を比較するのではなく、学んだ技術をチームを組んだとき、どうやって貢献できるか?を意識をする様に切り替えて下さい。
プロジェクトは一人では何もできない為、チームとの協力が必須です。
そして「知識」だけではなく「知恵」が要求される場面が多いんで、技術の話以外にも、たくさんの「引き出し」が必要になったりします。
なので、こういった情報が皆様の「引き出し」となり、何かのお役に立てれば良いなぁ・・なんて思います。