今回はSESでの体験記です!
私が初めてIT業界の入口として入社したのは、SES(System Engineering Service)と呼ばれるビジネスを生業としている会社でした。
なぜ、SESが入口になったか?そこで何を体験したのか?今回もリアルな部分をお話できればと思います。
誤解の無いよう先に言っておきますが、ここで話しているのは、かなり昔の話なんで、今では色々改善されたと信じてます!
SESってそもそも何?
今更、説明は不要かもしれませんが、SESとはエンジニアを顧客に派遣するサービスです。
派遣とは言っても非正規ではなく、正社員として所属してるんです。
乱暴な言い方をすると「正社員の人貸し」
ざっくり言うと、客先にエンジニアを常駐させて、毎月レンタル料を取るビジネスなんです。
ちなみに成果については、ぶっちゃけサポート外となります。
プロジェクトが失敗しようが、エンジニアにスキルがなかろうが、客先に常駐し続ける事ができれば、お金は入ってきます。
それでも、人件費のコストダウンで悩んでいる企業は多いので、案件は山のようにありました。
人を自社で雇うのには、ものすごいお金かかるんです。
給料が高いとか安いに関係なく、人件費のランニングコストは半端なく高いんです。
でも常駐で人を使うと、定額のお金を払うだけで済むので、人件費の削減にはなるかもしれません。
という事は、人をどんどん雇って、どんどん会社に送りこめば儲かるじゃないか!って話になりますよね。
そのため、未経験者でもガンガン人を雇ってくれるので、SES経由なら簡単にIT業界に入る事が出来たんです。
私がSESに入社した理由
少し端折りますが、私が超若い頃、ITのエンジニアになりたいと「一念発起」しました。
若さがあっても、未経験でエンジニアになるには、やっぱりハードルがありました。
でも、色々と情報を調べた結果、SESという入口がある事を知り面接を受けてみました。
未経験でしたが、狙い通りめっちゃ簡単に「内定」をゲットする事に成功しました。
色々と問題がある事は予想されましたが、私からするとこれは、ITエンジニアになる為の「賭け」だったんです。
私としては「〇〇でこういう事をやってました」という実務経験が欲しかったんです。
給与もめっちゃ安かったし、色々と怪しい点も多い会社だったのですが、手っ取り早く下積みをするにはこの方法が最善だと考えていました。
入ったらどうだったの?
入社すると精神論的な教育だけがありました。技術・プロジェクト・ソリューション等についての教育は全くありません。
精神論的な研修を終えると、感想文を書かされます。ここで改善案として自分の意見を書こうものなら、後日説教の面談が入ります。
結局、この感想文はもはや「踏み絵」でしかなかったのです。
案件ガチャ
そして、会社の洗礼を受けたら、次は常駐先となる案件に行きますが、これはハッキリいって「ガチャ」です。
パターンとしては以下の様に色々です。
・常駐してもあんまり仕事がないので、仕事しながら資格の勉強をするだけの案件
・人が次から次と体調不良で外れていく炎上案件
・社員食堂など、常駐先の福利厚生も使わせてもらえる、大手企業の優雅な案件
・PCのセットアップなど、ひたすら単純作業を行う案件
・作業範囲が存在しない、なんでもやります案件。
スキルとかキャリアプランなど一応聞かれますが、あんまり考慮される事もなく、完全に「運」でした。
SESに入って知ったヤバい話
自分がSESにいたときに、肌で学んだヤバい話をいくつかご紹介します。
常駐する人が短い期間で何回も入れ替わる
振り返ってみると、当時のSESは高確率でこれが起きやすかったと感じます。
理由は簡単で、適切なスキルを持ったエンジニアが、アサインされてないから当然です。
要はただの無茶振りだったんです。だから倒れたり、辞めたりなんて当然の様に起きます。
そしたら、新しい人をまた探してアサインして送り込めば完了。この繰り返しです。
常駐案件の営業は、技術的な事が解りませんから、具体的に必要なスキルを言われてもざっくりとしか解りません。
何でもいいから誰かを配置すればご成約なので、ありとあらゆる見せ方で次から次へと、人を送り込むのが彼らの仕事になっていました。
余談ですが、この様な事象を当時は【ドナドナ】とか【身代わり地蔵】とか呼んでました。
いくらなんでも、お客側も気付いて会社変えるでしょ?って思いますよね。でも残念ながらそんな流れにはならなかったんです。
政治的な会社間での付き合い、適切な人を呼ぶと値段が高い、急いでいる・・等々の理由で、双方の担当者レベルでは結局何も変えられなかったんです。
そして多重派遣が生まれる
案件はあるけど自社にはもう出す人がいない、しかもお客がそんなにお金を払えない、至急代わりの人を出して欲しい等・・案件はあっても、色々な課題がありました。
こんなときは・・
そうだ!もっと安い値段で他の会社から調達しよう!
という事を考える様になった訳です。
そしてその会社も同じ状況なので、更に安い値段で、また別な会社から探します。
こうして2次請け・3次請け・4次請け・・がどんどん生まれていき【孫請け】【多重派遣】【多重下請】と呼ばれている構造に発展していきます。
給与が安くなる傾向がある
人が高くて雇えない企業が人を借りるビジネスですから、出向先で働く人と同じ仕事をしても、その人よりも報酬が安くなるのは間違いありません。
さらに、3請け・4次請け以上になってくると、中抜きされまくって、エンジニアの給与はかなり低くなります。
自分の給与に納得いってない人は多いと思いますが、3次請け・4次請け以降のエンジニアは、ハッキリ言ってそんなレベルじゃないです。
ちゃんと働いているのに、生活困窮を余儀なくされるレベルに陥ります。この状況は通称「ワーキングプア」と呼ばれていました。
更に怖いのは、気が付いたらキャリアを積まないまま年を重ねてしまい、生活困窮から抜け出すのも困難な蟻地獄に陥る事です。
多重派遣は禁止されていますが、多重請負は今もグレーゾーンが多いので注意して下さい!
残業が増えると昇進する
これはSESに限った話ではありませんが、仕事が炎上すると残業が増えます。
SESは、月何時間稼働したかで請求をするやり方が多いので、この方法ならエンジニアの残業が多くなっても、残業代はちゃんと支払う事ができます。
ただ、注意すべきは、これすらエンジニアから奪い取ろうとする会社が存在する事です。
方法はいたって簡単で「課長」に昇格させればいいだけ。
この手を使えば、残業をすべてカットできるので、少しの昇給だけで大幅に人件費をカットできちゃうんです。
なので、課長がすげーいっぱいいる会社は注意しましょう!
常駐先で身に付けたサバイバル術
混乱したSESの案件から学んだサバイバル術をいくつか紹介します。これは今でも割と役にたっています。
情報収集しながら味方を探す
まず最初にやる事は、現地で情報を集める事です。
情報を集めるときに「聴く人」をよく理解し、味方になってくれそうな人を同時に探しましょう。
これをやっておけば、後のコミュケーションが大きく変わってきます。
ただ、同じ事を何回も聞いたり、自分の力で考える事を放棄している様な質問は、逆に嫌われるので注意しましょう。
人の言う事だけを鵜呑みにしてはいけない
混乱している現場は、情報共有が出来ていない可能性が大です。共有がされてたとしても覚える気が無い人も当然います。
経験上、間違った情報を覚えていたり、ふわっとしたまま認識してる方も割と多かったりします。
誰かの言った事をそのまま信用して、仕事を進めようとすると、高確率で正しくない情報に振り回されてドツボにハマります。
なので技術的な話だったら、検証を行うなど、必ず裏をとりましょう。
検証環境を用意してもらう
技術的な話は、自分の目でみた答えが一番の真実です。
山の様に存在するドキュメントを読むより、検証環境でトライ&エラーを行う事が、一番理解に繋がります。
現場で検証環境をもらえるかどうかで、案件の進み方が大きく変わると言っても過言ではありません。
自分の経歴を棚卸して管理しておこう。
いま自分にとって何を経験して、どんな事ができるようになったか?などのスキル管理をしておきましょう。
その上で、転職などの手段でステップアップするタイミングを考えておきましょう。チャンスは若い方がつかみやすいです。
ただ、いま在職中の会社が、ご自身の居場所であると感じているなら、無理に動く必要はありませんが、スキルの管理はしておく事をお勧めします。
最後に
ちなみに私はどうなったか?といいますと、結局、私が引いたガチャはIT業界では有名なSierへの常駐でした。
ここで、官公庁や金融系といった、ハイレベルな案件を経験する事ができたんです。
人が倒れたり、炎上が多い案件でしたが、ありがたい事に、PMも技術も全てこなせるスーパーSEが、私にあらゆるノウハウを授けてくれました。
そこで教えてもらった、経験と知識を使って、SESを卒業し次のステップに進む事が出来ました。
例えるならば、RPGでパーティを組んでレベルアップ、イベントをクリアして、フラグがたって、次の街へ進めたみたいな感覚でしょうか
そしてこの経験を元に、更に私はこう考えてみました。
この方の言う通り・・・
まさに人生はRPGですね!
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